この日もも車いすに座ってうさぎさんは病室で時間を過ごしていた。私の姿に気づくと笑顔を向けてくれる。「元気?さみしくなかったかい?」と声をかけるがそれに対するハッキリとした反応はない。ただ涙を流しているので、嬉しさと寂しさが入り混じった感情があるのかもしれない。
喜怒哀楽はこれまでに比べだいぶ落ち着いている。笑顔の時間があるがボーっとしている時間があるようだ。ウサギさんが最も信頼し大好きな女性看護師Mさんが、「時として泣いてしまうが、この理由が分からない。普段は看護師に対しても協力的で楽しそうにしているのだが、泣きだしてしまう理由がわからないという」。このMさんのような方が1人でもいてくれると患者の家族は、会えない時間でも安心できる、そんな思いにさせてくれる方だ。看護師としてではなく、人としてこころから感謝し、尊敬できる人。
この日は散歩にはいけなかったが、持参したヨーグルトと豆乳をウサギさんと一緒にたべる。ストローは使うがまだどうしてもうまく豆乳を飲み込めず口の中(右側)に残ってしまう。ゆっくりウサギさんが飲み込むのを見てから、もう一口と言った具合で豆乳を飲んでもらう。だが途中ウサギさんがいらいらしだしたので、紙コップに豆乳を移しのませるが、がぶ飲みしこぼしてしまう。私が悪かった。量を少し多くいれていた。ゆっくり飲んでねと伝えるが、伝わっていないのだ。ヨーグルトは二三口だけだが、ハチミツを入れたものを食べてもらう。
別の看護師の方から今日も、イメージと文字をマッチさせるリハビリをしたと教えてもらう。この日は当たっり外れたり半分半分と言ったかんじだったようだ。
Mさんもこの日はウサギさんの近くで仕事をされていた。膝で立っていられるか確認をしたようだがこれはうまくできなかったようだ。話をしているとき、ウサギさんが右足で貧乏ゆすりのような動きをしていたので、足が動いたと少し興奮しMさんに伝えると、これは筋力が低下するとこのような動きが自然と出てきてしまうようで、回復とは全く関係ないものだと言われる。
血圧を下げる薬を飲んでくれないウサギさんを説得して欲しいと、大柄な女性看護師に頼まれる。この方のこともウサギさんは好きなようで彼女を見ると泣きながら、看護師の方の手をパンパンと叩く。私を見ると泣き出すので嫌われているのかと気にしていたが、それは全くなくむしろ安心、信頼しているのだとろうと思うと伝える。Mさんとこの方へのウサギさんの好きだと言う感情は非常に強い。ウサギサンを見ているとこの病院の看護師や医師の方がどんな方たちなのか大体想像がつくようになってきた。
そしてこの日、はじめてウサギさんが明確な意思表示をジェスチャーで示す。隣の患者さんの御世話をしながら、ウサギさんが豆乳を飲む姿をみたMさんが、「ヤミー(美味しい)?」と親指を立てながら質問をすると、それに対してウサギさんが親指を立てて反応をする。7月11日に倒れてからこれまで、このようなジェスチャー、反応は私に対しても示さなかった。本当に人を、その人の人間性と言動でさらりと動かしてしまう人はいるのだと、改めて認識した。「ありがとうございます。Mさん」。
日々大きな変化は見られない。もしかしたら面会時間以外で色々なことが起こっているのかもしれないが。日々小さな変化を見つける姿勢でウサギさんのサポートを続けてゆこうと思う。
奇跡は起こすものと自分に言い聞かせてきたが、Mさんとウサギさんのやり取りを目の当たりにして、改めて「奇跡は起こすもの。起こせるものである」と強く認識することができた。ウサギさん、完全回復だ!!!
写真は、勇士が20代のころから使っていると言うタオルだ。旅行に行くときは必ず持ち歩いていたようで、一昨日、私の部屋に泊まった際、そうだ、「今のトシユキにはこれしかないわな」とプレゼントしてくれた。
ウサギさんの枕元にルアンポープロムの布と一緒に置いていこうとしたら、これは持ち帰れと軽く拒否られた。だが勇士がくれたのだと伝えると、笑いながら「ああ、あいつね、」的な表情をしながら、私のバッグに入れようとしていた。
ウサギさんが回復し、誰か似たよう辛い出来事と向かい合っている人がいたらその人に渡す。と言う約束を勇士としている。


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