車いすに座った状態でうたた寝をしているウサギさん。声をかけるとすぐに起き笑顔を向けてくれる。私が持っていた荷物が気になったのか、私から取り上げ自分の膝の上に抱えている。
例によって豆乳とヨーグルトを持参した。豆乳は相当飲みたいのだろう。自分でストローを刺そうとするが左手だけではうまくいかない。ストローは結局私がさしてあげた。
ストローで豆乳を飲んでいるが恐らく料としては1/4程度だろう。はちみつを入れたヨーグルトはあまり好きではないようだが、それでも1/3は食べてくれた。
この数日は血圧の薬を飲むことを拒んでいたようだが、今日は飲んでくれたようだ。昨日、しっかりと目を見ながら、血圧を抑える必要があるのだよと伝えていたが、しっかりと理解してくれていたようだ。理解力は完全な状態には戻っていないのかも知れないが、ある程度は理解しているのだろう。
お母さんが写真やボイスメールを毎日送ってくれるので、見せたり聞かせたりするがあまり興味を示さない。お母さんには無理のない範囲でボイスメールを送ってもらいウサギさんに聞かせようと思う。いくつかのボイスメールには、声をつまらせているものがあった。なので、お母さんには無理はせず、落ち着いて話せるときだけでも良いからと伝えている。面会を終えホテルに帰ると必ずその日のウサギさんの様子は報告している。
大柄の看護師の女性のことも好きなウサギさん。彼女の姿を見るとなぜか泣き出す。この看護師の方曰く、体の動きに関しては自分で起きだして、ベットの上に座ったり、車いすに自分から乗ろうとしているとのことで、これらウサギさんの行動は回復に向け非常に前向きなサインのようだ。病気になってから約一か月が経過しようとしているが、回復のスピードとしては悪くないのではないかと言っていた。
8月11日に香港に戻ることが決まった。看護師の方から11日当日の集合時間と、病院から羽田空港までの移動費用について説明を受ける。朝6時半に1階の守衛さんがいる入り口で入館手続きをすませ、うさぎさんが寝ている病室まで来てほしいとのこと。現金35,000円が移動に必要になる。
ウサギさんの服装は前開きの服であればOKとのこと。長袖のカーディガンがウサギさんのスーツケースに入っていたのでそれを持っていくことにした。靴は履いてもよいので、香港から履いてきた「N」ロゴがでかいニューバランスと、しまむらで購入したかなりゆったり目のズボンで決まりだ。
この日も闘魂のタオルを持っていく。こっそりと置いて帰ろうとしたが恥ずかしいのか嫌いなのかは分からないが、私の買い物袋に一生懸命左手で入れようとしている。2回拒否られたので病院で飾ることは諦め、タオルはエアビーで借りている駒込のマンションのソファーに掛けておくことに決めた。
この日は車いすで中庭に出ることができた。木陰で3、4分程度車いすを停めて、蝉の鳴き声を聞きながら外の暑い空気を2人で感じた。涙を流すがそれでもどこか嬉しそうなウサギさん。外の空気が気分を良くしてくれるのだろうか。
この日も中庭を三週回ってから帰ろうとしたが、二週目が終わると入口で待機している看護師の方の方を見ているので、そのままエアコンの効いた部屋に戻ることにした。
話を聞く集中力もあり、この日は私が帰るまで怒ったり、激しく泣き出すこともなく、落ち着いた状態で1時間を2人で過ごした。
もう帰る時間だと伝えると悲しそうな顔をする。脳の状態は少しずつだが良くなっているのは感じる。まだ右半身は動かず不安はあるが、香港に戻ってしっかりリハビリをしながら完全回復にむけて頑張っていくだけだ。頑張っていこうなウサギさんよ。闘魂!!!


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