世界中で起きている紛争などを見ているとこれから世の中はどうなってしまうのだろうと心配になることがある。香港保険の加入を検討している方からも良くこの類の質問を頂く。10年を優に超え、超長期で運用をしてゆく保険商品。運用期間中、万が一のことが発生し、自分の契約した保険がどうなってしまうのか心配になるのは当然のことだ。
過去はこうだったから未来もそうなるとは言えないが、それでも過去の出来ごとからヒントを求めることはできるのでないかと思っている。二度の戦争を経験した香港保険業界。180年を超える香港保険の歴史の中で、どのように契約者の資産を守り契約を履行してきたかを知ることで、「これなら契約しても問題なさそうだ」と思えるかも知れない。この記事をきっかけに加入に向けて前向きなアクションを取って頂ければ嬉しい。
香港の保険業界の歴史
1841年の開港後、香港は中継貿易の拠点として発展する。その中で火災・海上保険と言った損害保険から香港保険の歴史が始まる。生命保険においては、サン・ライフ(カナダ)が外資系保険会社として初めて、1892年に香港に拠点を構えビジネスを開始。
第一次世界大戦(1914~1918年)。この当時、香港ではサン・ライフだけでなく世界中の保険会社がビジネスを展開しており、ドイツなどの敵対国の保険会社も香港に軒を構えていた。ドイツと敵対していた香港の宗主国である英国は「敵国通商禁止条例」を施行し、香港で営業していたドイツ系の保険会社の資産を凍結し営業を停止させた。このような状況下では、契約内容は反故にされ証券が消滅してもおかしくない。しかし香港政府はそれを認めず、ドイツ系保険会社と契約していた人たちのリストを作り、中立国であったカナダやアメリカの保険会社に対し、ドイツ系保険会社が発行した保険証券を引き継ぐように依頼をする。戦争で敵対した国の会社だからと言って、香港市民の保険契約を紙屑にはさせない」と言う、香港政府による救済措置で、このときに「契約保護」の先例が作られた。戦争や政治的な理由などで保険会社が無くなってしまっても、香港政府主導で他社に保険契約を引き継がせると言うルールがこのこの時期に確立されている。
第二次世界大戦(1941~1945年)。香港保険の歴史の中で香港保険業界における最大の危機は、第二次世界大戦時下での日本軍による香港占領の時期だったと言われる。香港ドルの使用は完全に禁止され日本軍が発行した軍用手形である「軍票」が法定通貨となる。香港ドルと軍票の換算レートは日本側に極めて有利なレート「4香港ドル=1軍票」で固定されていた。市民の財産や香港ドル建てで積み立てられていた保険解約返戻金や死亡保険金の価値は4分の1以下に目減りした。
日本にとって敵国となる英国系、カナダ系の保険会社は業務停止・資産凍結に追い込まれており、契約者は保険料の支払い先を失い「保険料未払いによる証券失効」の危機に直面していた。終戦後、香港政府は戦争で崩壊した経済そして保険業界を立て直すため以下の措置をとる。
軍票の無効と香港ドルの復活。政府軍票を即座に無効と宣言し香港ドルを法定通貨に戻す。しかし軍票で資産を持っていた香港市民に多大な損失を与えることになった。その中で市民の財産や保険契約の価値をどのように「再計算」するかが大きな課題となる。政府は1948年に債務・銀行残高布告を出し戦時中に行われた軍票による支払いや債務をどのように香港ドルに換算し精算すべきかの法的ガイドラインを作成する。これにより軍票により毀損した保険証券の価値回復や戦時中に支払えなかった保険料の精算など戦後に後払いすることで契約を復活させるための法的な根拠が与えられた。
終戦後の政府の対応や法整備もさることながら、当時の保険業界の動きに関し注目すべきはサン・ライフやマニュライフと言った外資系保険会社による自主的な契約者救済のための行動だったと言える。
戦火で焼失した証券や顧客名簿が無い状態でも書類がなくても保険料を支払うなど極めて寛大な対応を取っていた。軍票問題への救済策としては、軍票で実質的な証券価値が目減りしてしまった契約に対し、保険会社各社、可能な限り「戦前の証券価値」に近づけるよう独自の調整や特別ボーナスを付与をすることで証券価値の毀損の補填に勤めていた。
また戦後、全ての保険会社スムーズに営業を再開できたわけではない。マニュライフやサン・ライフが中心となりこれら営業再開のできない保険会社に代わり顧客管理を行った。このことで戦後、路頭に迷う契約者はなくなり、香港保険そして制度自体への信頼感が強固なものになっていく。この時期の教訓は、「通貨や政権が崩壊しても、グローバルな資本力を持つ保険会社が、自社のブランドと信頼を守るために契約者を救済した」という点にある。このことが、後の1997年返還時における「香港保険への信頼」の源泉となったとも言われている。
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