香港経由して流れ込み続ける投資マネー。

チュウゴクとホンコン

中国は依然として海外投資家にとって魅力的な投資国

地政学的に騒がれていることとは裏腹に資産運用の観点からは中国市場を無視する事は出来ない。中国と諸外国の関係悪化にも関わらず、2020年から今年にかけて海外投資家の中国債券、株式の保有額は40%増加し日本円でおよそ88兆円を超えたと言われる。

2010年から既に海外の投資家による中国本土の債券市場へのアクセスが可能となっているが、2017年に香港金融管理局(以下HKMA)と中国人民銀行が共同で「債券通(ボンドコネクト)」を立ち上げてからは中国本土の債券市場は大幅に開放されたこと。また株、債券の国際指数に人民元資産が加えられたことも、中国市場への資金流入急増の理由にあげられる。

そしてなにより、純粋に中国国債の利回りは3%と他の先進国に比べて良い。2021年7月時点、主要国の10年国債利回りが-0.5%~1.3%程度と推移している中で中国国債の利回りは2.93%を維持している。

キンペイのアグレッシブな外交により色々メディアに取り上げられ、負の側面が目立っている中国。だがどれだけメディアや諸外国から叩かれても、海外からの投資の増加ぶりをみれば、貪欲な投資家にとって中国は依然として魅力的な国に他ならないのだろう。

そして利便性の高い投資プラットフォームを提供することで、海外からの中国への投資をスムーズにしてくれているのが香港だ。中国本土における人民元市場の自由化にはまだ相当な時間を要することから、引き続き香港は外資を呼び込む中国への玄関口としての役割を担い続けることになるだろう。

海外からの中国本土との取引においては引き続き厳しい資本移動規制が残っているが、海外投資は香港での機能を使うことで効率的に中国本土と取引を行うことができる。

香港が長い時間をかけて培ってきた、国際決済銀行や証券監督者機構制定の国際的な基準に準拠した金融プラットフォーム。基軸通貨である米ドル取引がイギリス、米国についで世界第3位とアジアでは最大になること。そして中国との関係性からもアジアの金融センターとしての香港が他国に取って代わられことは難しいだろう。国家安全法が施行されてからも大手の金融機関が香港から撤退せずこれまで通りビジネスを行っているのは中国が投資国として魅力的であることに加え、この香港の盤石な金融システムの存在が理由にあるのだろう。

アジアの金融センターとして香港とシンガポールは各々の強みや特徴を活かしながらこれまで通り機能してゆく

アジアの金融センターの地位が揺らいでいると聞くとさも香港の金融業界が2019年からのゴタゴタでこれまで維持していた機能や役割を果せないようなイメージを抱かされる。シンガポールに香港の金融センターとしてのポジションを奪われる様な意見もある。共に法人税もシンガポールが17%、香港が16.5%と低く、富裕層やヘッジファンドなどの投資家にとってメリットは多い。そして両地域ともに貿易の中継地としての特徴を有することから金融センターとして米ドルを中心に資金決済機能の強みを積み上げてきたことから、お互いを代替えができる要素も多い。

香港が金融センターとして機能しなくなったとすれば、シンガポールは有力な候補になり得るだろう。だが政治的な複雑な背景はあっても、海外からの投資マネーが香港を経由し中国に流れ込み続けている以上香港の役割は変わらない。そのため、今後もそれぞれの特徴と強みを活かしながらアジアにおける2つの金融センターとして役割を果たしていくと捉えるのが良いのではないだろうか。シンガポールはA S E A N地域における複数の通貨取引に優位性を持ち、そして香港は人民元取引に特化しながら。

中国にとって海外資金調達の場である香港

香港証券取引所は近年、新規株式公開(I P O)で国際的にも突出した市場となっている。2015年以降のI P O額は2017年を除き世界第一である。2018年にはChina Tower Corp、XiaomiI、Meituan Dianoing、2020年にはChina Bohai Bankなど大型I P Oが実施されており香港市場での資金調達が活発化している。

米中対立が先鋭化すればするほど、香港にとってI P O増加の追い風になる。アメリカでトランプやバイデンの嫌がらせを受け、キンペイからもアメリカなんかで上場してんじゃねーよと足を引っ張られた企業が重複上場を香港でしている。今後もこの流れは変わらないだろう。

スーパーパワーのはざまで翻弄されながらもうまーく立ち回りながら生きてゆく香港の人たち

この世界のスーパーパワーのはざまで翻弄されメディアにもウイグル自治区の問題と一緒に取り上げられる香港。国家安全法が施行されることで人権や民主主義、高度な自治が失われるなどの懸念が高まった。だがあの当時、アメリカから優遇措置を廃止するだ、制裁だと騒がれていたが香港にある巨大な金融機関(米国企業含む)の撤退のなどの動きは無く、むしろ国家安全法の導入に賛成している企業が多かった。恐らく、金に関わる仕事をしている人間にとってあの当時のデモやゴタゴタは迷惑以外の何物でもなかったのだろう。

きっとそれは香港と言う場所が金を稼ぐ場所(ビジネスチャンスを得る)であるからだ。A I Aに勤める香港人の営業がデモをしていた若者たちを、TENKAIのマッド系ウナギの天ぷらをモグモグさせながら、ギャングスターと表現したり。香港人の友人は、日本で有名なアグネスチョーさんの名前が思い出せず、あの子と表現していたり。あの一連の荒れていた時期を迷惑そうに表現していたのをはっきりと思い出す。

メディアの報道にも偏りが多すぎていた。日本からも香港の現状を報道しようと多くの有名なリポーターなどが来ていた。ヘルメットを手で押さえながらマイクを持って走り回っている姿を観たが、その隣の駅では普通に香港の人達は、なんか目がシュパシュパするな、鼻がムズムズするなと言いながら買い物をしていたシーンは誰も報道はしていなかった。

タイムイズマネーと言う言葉を「オッケーラー精神で」地で行くのがまさに香港の人達なのではないだろうか?2006年に移住して未だに広東語もろくに話せないのでシンガポール人の家内からは観光客と呼ばれているが、それでもこの15年と言う時間を香港の人達と一緒に過ごしてくるなかで、香港の人達の生き方や考え方、人間性についてそれなりに理解はしているつもりだ。

今の香港の置かれた状態に耐えられず香港を離れる人がいるのも事実である一方で、今もこれまで通り働き、そして生活をしている人たちが当たり前だがいる。香港に残ることを決めた人たちにとっては、きっと世界のスーパーパワーの狭間で翻弄され、自分達にはこんな化物共に抵抗したりたところで何もできないと分かっているからなのだろう。そしてこのスーパーパワーが飯の種を自分たちに齎してくれることを知っているのだ。

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